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俺つばSS「シロヤギさんとクロヤギさんの手紙」(双子幼少期)

 ※ネタバレ全開注意※
 
 ※アフターへの期待を込めて、きっと書いてくれないだろうから「チイ兄ちゃん」呼びのアレコレとか妄想してみた。あくまで捏造妄想。だいぶ昔にプレイしたから牧師時代の設定がうろ覚えなので間違っていても許してください。あと皆偽者くさい。口調とかもう忘れましたorz





 千歳鷲介と成田隼人が初めてコンタクトした時の互いの第一印象はこうである。

鷲介曰く、「え? 相手って宇宙人ですか。それとも失われた文明の古代人とかですか」

隼人曰く、「おい、じじぃ。中国人か! 中国人が相手なのかよ!」

 勿論、面と向かって会っていれば互いの第一印象をこうなるわけがない。
せいぜい鷲介が悪く思っても「口が悪い」とか「態度が悪い」ぐらいだろうし、隼人は隼人で「ウルサイ」とか「軽い」とかだろう。


 じゃあ何故こうなったか、と言うと。


「……隼人に、手紙でも書いてみないか」

 牧師は、他の兄弟たちについての話を興味深く聞いていた鷲介に向かって、さんざん考えた挙句にストレートにこう切り出してみた。
目を丸くする目の前の子供の中に、同じ姿でいてまったく違う手負いの獣のような子を思い出す。

 果たして自分の提案は彼らにとってプラスに働くのか、はたまたマイナスへと働くのか。 

 隼人と鷲介は特別だ。
彼らは多重人格のそれぞれの一人格である。
それだけならいっぱいいた。刹那に消えゆく人格から、何年もその人格を保っているものまで。

 でも自分が一人の人間から生み出された人格の一つだと知っている者はこの二人だけ。
もしかしたら他にもいるかもしれないが、マトモな人間のように思考したりコミュニケーションが取れる者に限定するならそれは確認できる限りこの二人だけだったのだ。

 だからこそ彼は、二人の交流を勧めてみようと思ったのだ。
医者じゃないのだから、何も病気を治すためとか大層なことは考えていない。
ただ、彼らの今後はきっと普通の人よりも人格の数だけ重いに違いない。
けど一人が重くなった時に、それと知って支えてくれるもう一人や二人がいれば道のりは楽になるだろう。

 あの二人には、お互いを助けたり。他の子を助けたりして欲しい。
そんなシンプルな想いからこの台詞は生まれた。



 <<コックピッド>>に入った隼人はぼんやりと周囲を見渡した。
ここは教会らしい。自分はどうやら教会の椅子に座っていたようだ。
きょろきょろと見回すと、牧師の姿はない。

「どこ行ったんだ」

 そこで隼人は自分の右隣に、一枚の紙切れがあるのに気付いた。
小さな男の子にしては綺麗な字で書かれたそれは、誰かに宛てた手紙のようだった。

 その手紙を上から下へと鋭い目つきで滑らせる隼人。

 5分後、牧師が隼人の様子を伺いに来た。
鷲介が引っ込んだ後、出現した人格が隼人とは限らないとは言え、なんとなく彼な予感がした。

 照れているような困ったような顔をして、恐る恐る隼人への手紙を書いている鷲介の顔が思い出された。
序盤は上々。人懐っこく見えて、臆病なあの子は、けして顔を会わせる相手ではないだろうからこそ、この話に乗ったのだろう。

 牧師が心の中でうっすら笑みを浮かべ、子供の前に立つ。
眉間に皺を寄せたその顔は、隼人に違いない。

「どうだ。それは、お前の兄弟からの手紙だぞ」

 本物の兄弟ではないけれど、似たようなものだろう。いたずらを成功させた子供のように口角を上げると、

「は?」

 何故か勢いよく顔を上げた隼人に唖然とされた。何故だ。

「いや、だからお前の兄弟の――。お前と同じ別の――」

「人格の? これ書いた相手が?」

 ますます驚愕を表して、成田隼人は叫んだ。

「おい、じじぃ。中国人か! 中国人が相手なのかよ! 漢字ばっかで読めねぇぞ。コノヤロウ!!」

 牧師はちょっと遠い目をした。
隼人の手元に目を向けると、年相応の漢字を使ったしっかりとした文章が目に飛び込んでくる。
残念ながら同じ人間でも学力には差があるのだった。本当に、残念ながら。


 牧師の提案はちょっと早かったかもしれない。主に隼人的な意味で。



 それでも手紙を貰ったからには返事を書くのが礼儀である。
隼人は嫌がった。

「そんなことよりボクシング教えろじじぃ」

 隼人にとっては見たこともない他の人格よりもボクシングの方が大事だった。
牧師はそれよりも勉強を教えてやりたいと思っただろうが、それは後にして何とかこの企画を成功させようとした。

 それがお互いの為でもあるし、折角鷲介が隼人に興味を持って歩みよろうとしてくれたのだからここで挫折させたくはない。

「お前達は兄弟のようなものだ」

「生まれた時期も同じぐらいだろう。双子みたいなものじゃないか」

 不機嫌そうな隼人に、親近感でも湧かせようかと説教じみたことを言ってしまった。
それに絆されたのか、やけになったのか知らないが、

「あぁー。じゃあ、書く……」

 相変わらず不機嫌そうだったが、隼人の言質は取れた。


 鷲介の手紙は牧師が音読してやったが、隼人の返事は本人に書かせた。
「書いてくれ」と投げやりに言われもしたが、流石にここまで代理しては意味がない。
漢字はともかく字は書けるのだ。

 一応念のため監修する為に牧師が見ていると、隼人は紙の前で手を動かさずに、チラチラと牧師を見て舌打ちをする。

「見んなよ」

 どうやらお返事の内容を見られるのが恥ずかしかったらしい。
溜め息吐いて牧師は退去した。
そう言えば、鷲介にも『恥ずかしいから一人にして欲しい』と乞われていたから席を辞していたのだ。
音読してしまって悪いことしたな。

 怨むなら弟の馬鹿さ加減を把握してなかった自分を恨んで欲しい、と牧師は思った。



 千歳鷲介が<<コックピッド>>に収まったのはそれから一週間後だった。
教会の門をくぐり、牧師が預かった手紙の返事をドキドキしながら受け取る。

 小さな手は、封筒から一枚の紙を掴んだ。

そして――

 奇しくも双子のように生まれたこの擬似兄弟は、生まれて初めて貰った手紙を前に同じ表情を浮かべた。

 唖然。

 牧師は思った。しまった。きっと馬鹿丸出しの内容だったのだろう。こっそり内容の確認ぐらいすれば良かった。
そして鷲介は手紙を上から下まで何度も何度も繰り返し目で追ってから、牧師に問うた。


「え? 相手って宇宙人ですか。それとも失われた文明の古代人とかですか。字が日本語のように読めないんですけど!!」


 牧師は黙って手紙を回収した。隼人は古代人でも宇宙人でもないので、書いてあるのは日本語なはずだった。
――と言うか、恐らく日本語なのだろう。それは見事に悪筆でミミズがのたくったものにしか見えない字だった。


 あぁ、この提案は失敗だ。
コミュニケーションもクソもない。学力がアレな時点でこういう事態も危惧すべきだった。
これじゃあ仲良くしようがない。
苦い顔をして、牧師でも解読不能の手紙らしいものを封筒に戻そうとすると、

「あぁ! 待って」

 横から一緒に覗き込んでいた鷲介がその行動を止めた。
そしてピシリと指を差す。


「これだけ読める」


 二人の目が同じところに留まる。
それは手紙の一番最初だった。



 時は遡って、成田隼人が鉛筆を握って宇宙語を書いている時である。
本人は日本語のつもりで書いていたが、普段字なんか書かない上に、見直す気もやる気もないからその事実に気付くことはなかった。

「こんな感じでいいか。でも日本語でいいのか。別に中国人じゃねーんだよな。一応、中国人並みに漢字好きらしいから知っている限り書いてやったけど」

 その知っているはずの漢字が間違っていて、古代語になってたりするのもむろん気付いてはいない。

「やべ。手紙って○○へとか書くんだよな。書かないと手紙じゃなくて日記になるし。あー! つーか名前なんだっけ? 相手の名前。だからかっこつけてねーで、中国語じゃなくて日本語で名前書けよ。どんだけ中国人に憧れてんだコイツ!」

 取り出した千歳鷲介の手紙を眼力で読めるようになると言わんばかりににらめつけて、斜め上の難癖をつけていた。

「えっと。この最後の4文字が名前っぽいな。チ、チ、チ。最初の字はカタカナの『チ』だよな」

 それは『チ』(ち)ではなく『千』(せん)と言う漢字だ。

「はぁ? それ以降読めねーよ。今更じじぃ呼ぶのもなんだし。くそー!」

 頭を抱える隼人。そこでしばらく悶えてから――隼人はある事を閃き、再び鉛筆を滑らせた。



 そして手紙を受け取った鷲介の場面へと戻る。
鷲介は笑顔だった。牧師も似たような笑みを浮かべてほっとした。



 お互いに読めなかった彼らの手紙に、意味はあったのだ。



――名前分からなくても、相手が自分宛てだと分かればいいんだよな。じゃあ分かる字から……。

――あと、俺達は兄弟みたいなものとかじじぃが言ってたし。

――これで分かるだろう。



 最後の最後に悩んで慎重に書いたからそこ解読できる文字になったのだろう。
成田隼人の読めない手紙には、一番最初に唯一読める字でこう書かれていた。




『ちぃにいちゃんへ』



―END―


 ずっと昔に考えていたネタを思い出して書いてみた。ちなみに小鳩とカルラのデート話とかも昔考えたりしたけど公式で似たようなもの書かれちゃったしね。
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