コードギアスSS「ふたりぼっち」(シールル)

※一期の24話&25話を見て、シールル的イメージ小説。(抽象的・パラレル風です)2007年07月頃に書いたもの。




 ここは海だ。
知識の海。歴史の海。言葉の海。紙の海。



部屋いっぱいに積まれた本の頂きに人影が見える。


彼女は本に紛れてその人影を見上げていた。
遠い物語を鑑賞しているような気分で。
うつろな眼差しで。


人影は動く。
彼は探していた。
答えを探していた。
正しい答えを。
そんなものはないと知りながらも探していた。


この狭い世界には、今のところふたりだけ。
ふたりだけが存在していた。

一人は、その存在を知りながら自分とは程遠いものだと思い。
一人は、その存在にまったく気付かない。

彼は捜索の手を休めず。
彼女はうつろに埋もれていく。


本。本。本。本。本。

掻き分けて。
掻き分けて。


一つの本に手を止めた。


彼女は埋もれていた。
彼が掻き分けた手によって埋もれていた。

しかし気付くと掘り起こされて、じっと彼に見られていた。


だから「ひどいじゃないか。窒息してしまうところだったぞ」と文句を言った。
そうしたら「気付かなかった。悪かった」と言われた。

「何を探しているんだ?」

開かれた彼女は彼に語りかける。

「俺の出した答えが正しいものかを判断するものをだ」

「お前の答え?一体なんの答えか知らんが、そんなものはあるわけないだろう」

「ああ。そうだろうな」

「じゃあなんで探しているんだ?」

「納得しないからだ」

「誰が?」

「多くの人がだよ」

「ふん。くだらないな世界なんぞに揺さぶられて。しょせん世界(集団)は個人の集りに過ぎないじゃあないか。子供じゃないんだ。多数決に作用されてなんになる」

「まったくだよ。それでも人は世界の中で生きていくしかないんだよ」

「ああ。お前はどうしてそんな悲しそうな顔をするんだ。それなら世界には今、わたしとお前しかいない。生きていることに悲しい事はなにもないだろう」

「そうだな。ここには俺とお前しかいない。それはとても安らかな事実だ」

「生きることがつらいのか」

「そんなことはないよ」

「嘘をつくな」

「それでも死んでいるよりましだろう」

「そうだな」

「勝つということはどういう事だろう」

「生きるということだろう」

「生きていれば勝ったことになるのか」

「命があるだけじゃあダメだ。命を捨てて信念だけが生きていてもダメだ。本当の勝利はどちらも見失ってはならない。多くを切り捨てた分だけ人は何かに降伏して負けを認めているのだということを忘れるなよ」

「それじゃあ、お前も生きていろよ」

「ああ」

「命を捨てては俺は生きてはいけないからな」

「まるでわたしがお前の命のようだ」

「ひとりじゃない」

「わたしたちはふたりぼっち」

「変な言葉を作るもんだな」

「プロポーズの相手に随分な口のききようだ」

「プロポーズなんかしてないだろう」

「したさ」

「してない」

「強情な奴だ。別にいいさ。わたしが勝手にそう思っておく。だから魔王にでも何にでもなってしまえばいい」

「本当に勝手な女だ」

「でもそんな女が好きだろう」

「……腹が立つが否定仕切れないな」

「顔が笑っているぞ」

「もとからこういう顔ですよ」

「もっと邪悪な顔だったような……」

「……」

「嘘だ。お前は優しいよ」

「いきなりなんだ」

「いや。世界に認めてもらいたいのなら、わたしがお前の存在の全てを肯定するよ。この世界はお前とわたししかいなくて、お前の命がわたしなら、世界ははつまるところわたし。わたしに他ならない。なぁ、ルルーシュ」

『好きだよ』と、紡がれる言葉はとろけるような甘美な響き。
この物語のクライマックス。
誰かが一番伝えたいその思い。

今ここに。
この世界にポツンと落とされた他愛のない拘束だった。




世界は彼と彼女で。
彼は彼女で。
世界は彼女で。





世界は愛しさで、



世界は包まれている。




それは勝利の約束と、

愛という拘束。


でも心地よい。
優しい世界。


ふたりが創った。
ふたりの世界。


この世界は、大きな一つの世界に埋没している。
だから人はいつもこの世界に生きる事はできない。


それでも心の中にいつもこの世界を見つけ出すことができるのなら。
人は大きな世界にだって抗うことができるのかもしれない。

ふたりぼっちの世界だとしても。

―完― 
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