コードギアスR2SS「始まりかもしれないフォトショット」(ジノアニャ)

※アーニャを楽しみにしてたら、眼中になかったジノが予想外にフリーダムで好みのタイプだったので記念に5話のお祭デート(内容はデート話じゃないです)するジノアニャ。2008年5月頃書いたもの。




 目に映るものが何もかも新鮮でたまらないジノは、皇帝直属の超エリートであるナイトオブラウンズの一員にはとても見えずに、ただの少年のようにはしゃいでいた。

学校だ!学校!スザクの通う学校!
同じ年頃の少年少女たちが集められて、決められた服を着て勉強する場所とは、なんてストレンジなんだ!


軍だって、ナイトオブラウンズのメンバーだって、それはそれは色んな性格やら性癖を持つ人間はいるが、同じ年頃の若い者ばかりを集めた場所とやらには興味をそそられる。
特に近年はアーニャやスザクと言った自分の年に近い同僚が周りにいる事で、ジノのその考えを助長させていた。

なんせ貴族の子供は退屈な大人ばかりを相手にして育たなければならないのだ。
特にジノは満たされない刺激を埋める新しい物には、人一倍貪欲だった。

「ア~ニャっ!いい写真取れてるか?」

いじっているアーニャのカメラ付きケータイを横からひょいっと覗き込むと、かなりの画像が撮れている。
きっとアーニャもこの状況が楽しいに違いない。

うんうん。とジノは満足そうに肯いてから『うん?』と首を傾げた。

写りをチェックするアーニャのデータを見ていたら、何かが足りない気がしたのだ。
疑問に思うまま今度はひょいっと、アーニャの手からケータイを奪い、自分の手で何がおかしいのかをチェックしてみる。

瞬間的にその疑問に没頭していた為か、小柄な(もっともジノの長身からしてみれば大抵の人間が小柄だが)アーニャがぴょんぴょん飛び跳ねて、


「返して!」


と手を伸ばし続けている事に、ジノはしばらくは気付かない。
しかし「気付いたとたんに今度は珍しく慌てるアーニャが面白くなってしまった。
にんまりと邪気のない笑顔を浮かべ、アーニャの手の届きそうなところにケータイを下ろしては、捕まる前にまた高く上げてしまう。


ひょいっ!ひょいっ!


心底面白そうに、何度も何度も同じ事を繰り返す。
この場合、ジノに悪気はまったくないのが彼の性格の最大の難点だろう。

しばらくすると、猫の子がオモチャにじゃれつくように健気に跳ねていたアーニャも腹が立ってきたのか、半ば体当たりするようにジノに飛び掛った。

もちろん、余裕で避けようとしたジノだったが、後ろ向きで歩いた為に障害物に気付かなかった。
出店の屋台骨に使われたパイプか何かにジノは足をとられて転んでしまったのだ。
当然ジノに突撃特攻ををしかけたアーニャも同じ運命を辿る事になる。



「うわっ!」
「あっ……!」



どすんっ!





――温かい。

ジノが衝撃で閉じていた目を開くと、アーニャの顔がジノのお腹辺りに突っ伏していた。怪我はなさそうだ。
しかしジノ本人はと言うと、打ち付けた尻も痛ければ、倒れこんできたアーニャから受けたダメージも相当酷かった。

まぁ、取り返しのつかないダメージを受けているモノはない――

「あ、ケータイ
「カメラ!」

この時、ジノは右手に握り締めていたケータイを急に振り上げて、やや見上げるぐらいの位置に掲げた。
アーニャの方はそのまま、頭上高く上げられたケータイを無事かどうかと真っ直ぐと見つめる。



『パシャッ!』




「……」
「……」

突然のフラッシュに、2人とも目を丸くして固まってしまう。
しばらくして、一足先に我に帰ったジノがカメラの画面をゆっくり覗き、ぱっとようやく霧が晴れたような笑顔を浮かべた。


「そうか!何かおかしいと思ったらアーニャ、折角のお祭りなのにデータの中にお前の写真が一枚もなかったんじゃないか!」


「良かったなぁ~!偶然でもお前の写真が撮れて!自分の写真がないなんて寂しいもんな」と、ぐりぐりとアーニャの頭を撫で回しながら陽気に言い、尻餅をついた状態から立ち上がると、何を思ったかジノはどこかへ駆け出して行った。


「だから……カメラ……ッ!」


もちろん大切なケータイカメラの為に、アーニャはジノを追いかけて行った。


※※※


「スザク!」

任務の為にも歓迎パーティーを順調に進めようとしていたスザクの前に、トラブルメーカーの元が立ちふさがって来て思わず眉を寄せてしまう。
一体、今度は何をやらかす気なのだろうか。

胡乱気に見ていると、小走りする見慣れた少女の姿がジノの背後から現れた。

「アーニャってばいつもあんなに写真撮ってるくせに、自分の写真は全然撮らないんだよ」

ひょいっ!

「でも今日は一枚だけ撮ってさ」

ひょいっ!

ぴょんぴょんと跳ねて手を伸ばすアーニャと、後ろも見ずにそれを笑顔で喋りながら避けるジノの姿に、スザクは呆気に取られてしまった。
二人の位置は違うが、まるでビデオの再生のように先刻と同じ事を繰り返している事を、スザクは知る由もない。

「あぁ!これさっき撮った私とアーニャの写真なんだ!」

ひょいっ!

「あっ……!」

指先一センチでようやく届きそうだったアーニャの手とケータイカメラは、無情にもジノの素早い手によってスザクの目前に引き出されてしまった。

「どうせならスザクも一緒に写真を撮ろうと思ってね!」
「えっ……」

突きつけられた写真を見ると、口が引きつった。

「ぼ、僕は遠慮しておくよ」
「えっ、何で?」
「……馬に蹴られたくないし」
「は?」

不思議そうな顔をするジノは放って置いて、スザクはとっとと用のある会長と合流しようと歩き出した。

「待てよ!何でだよー!」

あんまりにジノの声がしつこいのでスザクがちょっと振り返って見ると、すぐ様自分のその判断を後悔した。


ジノがアーニャを抱きしめていた。


スザクはげんなりしてしまった。
写真の映像もついでに思い出してしまい「一体何時の間にそんな関係になったんだか」と小さくこぼす。


例の突きつけられた写真は、上から見下ろすようにシャッターをきってあった。

カメラを見上げたジノとアーニャは、何故か慌てているように見える。
そしてその頬と頬も近ければ、体も恐ろしいほど近い。

同性ならともかく異性でこのような写真を撮るような関係と言えば、言わずものがなだろう。
スザクが写真の事や現在進行形で起こっている事を顧みて、そう考えるのも至極真っ当の事だった。



しかし真実はと言うと、、、




「おっとと。おいおい、また二人でぶっ倒れる所だっただろう」
「カメラ、返して……」

またもやジノに飛び掛ったアーニャは、俯いたまま膨れっ面で、抱きとめてくれた彼の腕の裾を引っぱって抗議する。

「OKOK返すって。でもお前が写ってる写真も撮ろうな」
「……」
「なっ!」
「わかった」
「はい。お返しします」

俯きがちなアーニャのつむじに、カメラ付きケータイはちょこんと置かれて返された。
いかにもジノらしい返し方だった。

アーニャはブログに載せる為の写真なんだから自分を写してもしょうがない、と思いつつもジノとの約束は仕方がないので守るつもりだ。




スザクの見た写真や抱きしめた姿は誤解だったが、二人のそんなやりとりを見るに、誤解でなくなる日がもしかしたら来るのかもしれない。
それはまた別の話か。

―完―
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