コードギアスSS「羽を休めた小さな小鳥と深く昏い水の底」(シールル)

※一期23話の「契約したろ…お前の側にいると。…私だけは…」直後のしーるる。2007年6月ごろに書いたやつ。





 こころの泉に、いちわの鳥が舞い降りる。
ひらり、ひらり、ひらひら、と。

色をなくしたことりよ。
今は、ただ安らかに。

嗚呼、雪よ。雪よ。舞い落ちろ。
お前の心に寄り添うにように、雪よ。雪よ。ただ雪よ。




「愛しているよ」

未だ抱きしめている契約者の耳元で、女はそんなことを呟いてみた。
返って来るのはもちろん嘲りを帯びたまるで信じていない返事で、可愛くないことこの上ない。

「今更なにをくだらないことを言ってるんだ、お前」
「今だからだろう」
「それじゃあまるで、お前は俺のことを前から愛していたみたいじゃないか」
「愛していたよ。ずっとずっと前から。きっと、な…」

そう言いながら、もう一度ゆっくりと髪をすいてやる。

壊れたおもちゃみたいに押し黙る男を抱きしめながら、嗚呼これでは自分はあの女みたいだと思った。
弱さにつけこんで口付けをかわしたあの女。
だけどわたしはアレとは違う。

それこそ全てを、コイツの全てを知っているのはわたしだけなんだから。

「今まではいらなかったから言わなかった。共犯者、契約者、パートナー、保護者、……なんでもいい。どんな言葉でもわたしたちの関係は言い表せた。そこに愛なんてものがなくたってね。でも今は、必要だと思うから――」

――だから、愛さずにはいられなかった。

「必要なのは、俺か?それともお前なのか?」

ポツリと零されたセリフに胸がざわめく。
そうか。あのマオへの言葉は嘘ではないのかもしれない。
わたしがお前の全てを知っているように、お前はわたしの全てを知っているのかもな。

C.C.が抱きしめた体から離れようとすると、ルルーシュに腕を捕まれた。

「雪が見たいな」
「何?」
「いや、ただ綺麗だから見てみたいと思っただけだ」

これはわたしのことを引き止めるためにこぼれた無理矢理の理由だろうか。
それとも本当にそう思っているのか。

C.C.にはわからない。だが――

「雪なら、ここにあるだろう」
「え」

ようやく顔をあげたルルーシュとC.C.の目が合う。
目が合うと僅かに怯えているように見えたのは、いくらギアスがきかないと分かってはいても恐れがあるからだろう。


お前は本当に甘くて甘くて、とても優しい男だよ。


「わたしという雪がここに」


笑っていた。わたしは笑っていた。
どんな風に笑っていたかはC.C.本人にはわからなかったが。


気付くとまた抱きしめていた。
いや、もしかしたら抱きしめられていたのかもしれない。


「あぁ。ずいぶんと、温かい……雪だ…な」
「文句を言うな……」
「わかったよ、  ――」


こんな風にわたしの本当の名を呼ぶお前だから。
きっと契約者なんかじゃなくても、わたしはお前を愛していたのかもしれないよ。






やがてお前の決断からもっともっとこれ以上ないぐらい多くの血を流すことになるだろう。
それでも――


真っ白な雪よ。
温かな雪よ。
綺麗だと言った雪よ。


どうかお前の心の傍らに寄り添わせてくれ。
雪よ。雪よ。ただ雪よ。


わたしという存在で、今だけは下界の全てから血に汚れたお前を隠してあげるから。
だから側に、……側にいてくれ……ルルーシュ。


―完―


C.C.がルルに向ける感情は、マオに対するように義務とか責任から生じた愛情だと思い込もうとしている。大切なものだけど遠ざけたくないから。
ルルーシュは、哀れみや同情は嫌いだけどC.C.が孤独なの(側にいて欲しいの)をわかってるから思わず許せちゃう。(あと押したらころりといっちゃうタイプだから)
スザユフィが自分が自分を愛せないからお互いを好きになろうって言っているのだから、C.C.が側にいるって言ったのは側にいて欲しいと思ってるからじゃないかとか想像してみる。
スポンサーサイト
Secret

プロフィール

hawa

Author:hawa
二次元小説は男女(女男)CPかnotCPの健全ものです。
無断転載禁止。版権元、原作者とは一切関係がありません。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

QRコード

QRコード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク

RSSフィード

ブログ内検索